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Channel: mitakeつれづれなる抄
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青陽会能を拝見しました

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 本日は、名古屋の観世流能楽師で構成される定期能「青陽会能」を観てまいりました。
定期能ですが、今年2回目。
余計なことですが、謡・仕舞を稽古する方が減っているのに連動するかのように、青陽会能の上演回数も減り、今年は僅か三回。その三回も能は一番か二番と、かつてに比べれば随分縮小されました。
私が能を観始めたころは、年4回で、毎回能が三番狂言一番でした。

今日の上演曲目。演者名の敬称略。
仕舞
 敦盛 星野路子
 花月 久田三津子

舞囃子
 龍田 吉沢旭
 通小町 清沢一政

仕舞
 清経 伊藤裕貴
 野守 久田寛鴎

狂言
 蚊相撲 大名:佐藤融 太郎冠者:井上松次郎 蚊の精:鹿島俊裕


 羽衣 天女:久田勘吉朗 漁師:高安勝久、椙元正樹

附祝言は高砂キリ

 観能ですが、狂言の蚊相撲。大名(という名の人より少し秀でた立場の者)が新参の召し使いを雇いたいがために、太郎冠者に街道へ出でて、だれか見つけて来いと命じ、見つけてきた者はなんと蚊の精。
 大名は、流行りの相撲を取ると言い出し、新参の召し使い(蚊の精)と相撲をとるも、蚊の精は、蚊の本性を出し、大名にブスッ。
 これはたまらんと、大名倒れる。相手は蚊の精だとわかり、ならばと大きな団扇を用意し、蚊の精が向かってきたところで団扇を仰ぐと、蚊の精はプーンの音を残して退散。
 大名、勝ったぞ勝ったぞ、と単純そのもの。

 という内容の狂言。

 能・羽衣は有名です。
 富士が見える、羽衣の松原で、漁師が松の枝にかかる美しい衣を見つけ、自分のものにしようとする。
 その衣は天上界の天人のもので、地上に降りてきた時に一休みで、松の枝に掛けたもの。
 天人はその衣がないと天上界へ帰れない。だから返せと。漁師、嫌だ。そんな押し問答の末、漁師は衣を返すことに。
 衣を纏った天人は、舞を見せて、天上界へ帰る、という内容。

 この天人が主役(シテ)で、これを、久田勘吉郎師。まだ若手です。
 名古屋の観世流の軸の一つとなる久田観正会の将来を担う一人。

 動きがやわらかく、天上界の天女が十分に感じられた能です。

 気になったのは、漁師の役はワキ(脇)なのですが、舞台にワキともう一人の漁師ワキツレの二人が登場し、ワキは後見座に釣竿を置きますが、本来はこれをワキの後見が片づけに出ます。
本日はそれが無く、普通にシテ天人が舞台に登場した際にシテ後見が舞台後方の後見座に置かれた釣竿を引きました。
「引く」とは後見によって、舞台から撤去することです。
ワキ後見によるものが、ワキの後見が出ないということは、本日は、ワキの方は他に来られていなかっただろうか。
高安流は必ずしも大きくはないので、こういう些細なところに流儀の行く末を心配してしまいます。

 能の羽衣では、正式な能でもワキツレを省略し、漁師はワキ一人の場合もありますので、ワキツレが出た分だけ、よしとしましょう。
モノゴトはポジティブに考えなきゃ。

能が終わって、着席していた席から。

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