京都新聞web版記事からです。滋賀県の旧国鉄信楽線の信楽高原鉄道に、新型車両が導入され、その発車式が行われた記事です。
記事:信楽鉄道の新型車両、出発進行 滋賀・甲賀
新型車両の運行開始はどこの事業者でもあり、それ自体はニュースにはなりませんが、信楽高原鉄道はちょっと違い、いろいろな特殊事情があり、新型車両とは大変な中、よく導入できたと思いました。
その特殊事情とは、1991年の列車正面衝突事故と、2013年の台風により杣川の橋梁流失等があり、会社存続の危機ともいえる事態が起こったためです。
1991年の列車正面衝突事故は、大変大きなニュースとなりました。
JR発足後としては当時最大の事故となり、しかも正常な取り扱いが行われていれば起きなかった事故。
原因は、信楽高原鉄道が滋賀県と沿線自治体等により設立された第三セクターで、当時の運輸責任者は滋賀県からの出向だったのか、鉄道事業出身ではなかったことで、安易に発車させるように指示し、列車を発車させたことによるもの。
国土交通省から、改めて信号扱いは厳正に、と指示がありました。
2013年の杣川橋梁流失は、ほんの数十メートルの橋が流されたのではなくて、橋脚の数本が流される大規模災害。
前記、列車正面衝突事故の影もあり、復旧費用が莫大なものになる為、一時は復旧を諦め鉄道路線廃止も検討されました。
しかしこの年の暮れに国の鉄道整備事業支援による補助の対象となり、一年以上の運休を経て、翌2014年の11月に運転再開となりました。これはまだ近年のことでよく覚えています。
新聞見出しでは、相変わらず「出発進行」なんですね。
物事を始める際になんで「出発進行」なのだろう。
列車が動き出す時の運転士の声から来ているのは明らかですが、どうしても意味を誤解しています。弊ブログでも過去に書きました。→こちら。
信楽高原鉄道で運転士が「出発進行!」と歓呼する場所は、信楽駅だけです。
逆に言えば信楽駅にしか出発信号機がありません。
いえ、他に草津線との分岐の貴生川駅と、途中の小野谷信号場にも出発信号機はありますが、現在は使用されておらず、信号機としては「死んだ」状態です。
その理由が1991年の正面衝突事故。
この年の5月に陶器信楽焼きの産地である信楽で世界陶芸博が開かれ、列車増発のために全線の中間付近に行き違いを目的とした小野谷信号場を設置しました。
陶芸博の臨時輸送で、大阪駅からの直通列車も設定され、小野谷信号場で信楽高原鉄道線内折返しの列車と行き違いのはずが、信号が動かなくなり、前記運輸責任者が列車無線で止めることを前提として、信楽駅を発車させたものの大阪駅からの直通列車はJR西日本の車両のため、無線を積んでおらず、「信号場で一時待て」という指示は届かず、臨時列車が信号場を過ぎたところで正面衝突。
信号が動かなくなった原因は、後に信楽高原鉄道側が勝手に信号回路をいじくったために、或る条件下で列車の走行となると、信楽駅の出発信号機が赤のまま変わらなくなることになってしまいました。
さらに、JR西日本側も勝手な信号回路を設けたために、信楽駅の赤信号固定につながったものが判明。
そのために、信楽高原鉄道線内の信号回路を全て使用停止にし、当然ながら出発信号機も全て使用停止。
貴生川駅の分岐器は固定し、信楽高原鉄道の発着は一線だけに。
小野谷信号場も行き違い機能は中止し、信号場としては機能しないことになりました。
信楽駅だけは発着線が二線ありますので、分岐器開通方向を示すために出発信号機が生きている状態。場内信号機も信楽駅だけは生きています。
こんな状況の中の新型車両で、沿線の方の思い入れも強いものです。
余談ですが、信楽高原鉄道で新型車両導入の理由となったのが、老朽化で一両廃車にするため、その代替えですが、この老朽廃車が和歌山県の紀州鉄道へ行くことになりました。
紀州鉄道は、信楽高原鉄道よりも短い、全線で3kmにも満たない、超ミニ鉄道。車両が何両かありますが、動ける車両が一両しかないなんとも凄い鉄道。
そこへ「動ける車両」がもう一両加わることになり、Twitterでは話題になりました。
記事:信楽鉄道の新型車両、出発進行 滋賀・甲賀
新型車両の運行開始はどこの事業者でもあり、それ自体はニュースにはなりませんが、信楽高原鉄道はちょっと違い、いろいろな特殊事情があり、新型車両とは大変な中、よく導入できたと思いました。
その特殊事情とは、1991年の列車正面衝突事故と、2013年の台風により杣川の橋梁流失等があり、会社存続の危機ともいえる事態が起こったためです。
1991年の列車正面衝突事故は、大変大きなニュースとなりました。
JR発足後としては当時最大の事故となり、しかも正常な取り扱いが行われていれば起きなかった事故。
原因は、信楽高原鉄道が滋賀県と沿線自治体等により設立された第三セクターで、当時の運輸責任者は滋賀県からの出向だったのか、鉄道事業出身ではなかったことで、安易に発車させるように指示し、列車を発車させたことによるもの。
国土交通省から、改めて信号扱いは厳正に、と指示がありました。
2013年の杣川橋梁流失は、ほんの数十メートルの橋が流されたのではなくて、橋脚の数本が流される大規模災害。
前記、列車正面衝突事故の影もあり、復旧費用が莫大なものになる為、一時は復旧を諦め鉄道路線廃止も検討されました。
しかしこの年の暮れに国の鉄道整備事業支援による補助の対象となり、一年以上の運休を経て、翌2014年の11月に運転再開となりました。これはまだ近年のことでよく覚えています。
新聞見出しでは、相変わらず「出発進行」なんですね。
物事を始める際になんで「出発進行」なのだろう。
列車が動き出す時の運転士の声から来ているのは明らかですが、どうしても意味を誤解しています。弊ブログでも過去に書きました。→こちら。
信楽高原鉄道で運転士が「出発進行!」と歓呼する場所は、信楽駅だけです。
逆に言えば信楽駅にしか出発信号機がありません。
いえ、他に草津線との分岐の貴生川駅と、途中の小野谷信号場にも出発信号機はありますが、現在は使用されておらず、信号機としては「死んだ」状態です。
その理由が1991年の正面衝突事故。
この年の5月に陶器信楽焼きの産地である信楽で世界陶芸博が開かれ、列車増発のために全線の中間付近に行き違いを目的とした小野谷信号場を設置しました。
陶芸博の臨時輸送で、大阪駅からの直通列車も設定され、小野谷信号場で信楽高原鉄道線内折返しの列車と行き違いのはずが、信号が動かなくなり、前記運輸責任者が列車無線で止めることを前提として、信楽駅を発車させたものの大阪駅からの直通列車はJR西日本の車両のため、無線を積んでおらず、「信号場で一時待て」という指示は届かず、臨時列車が信号場を過ぎたところで正面衝突。
信号が動かなくなった原因は、後に信楽高原鉄道側が勝手に信号回路をいじくったために、或る条件下で列車の走行となると、信楽駅の出発信号機が赤のまま変わらなくなることになってしまいました。
さらに、JR西日本側も勝手な信号回路を設けたために、信楽駅の赤信号固定につながったものが判明。
そのために、信楽高原鉄道線内の信号回路を全て使用停止にし、当然ながら出発信号機も全て使用停止。
貴生川駅の分岐器は固定し、信楽高原鉄道の発着は一線だけに。
小野谷信号場も行き違い機能は中止し、信号場としては機能しないことになりました。
信楽駅だけは発着線が二線ありますので、分岐器開通方向を示すために出発信号機が生きている状態。場内信号機も信楽駅だけは生きています。
こんな状況の中の新型車両で、沿線の方の思い入れも強いものです。
余談ですが、信楽高原鉄道で新型車両導入の理由となったのが、老朽化で一両廃車にするため、その代替えですが、この老朽廃車が和歌山県の紀州鉄道へ行くことになりました。
紀州鉄道は、信楽高原鉄道よりも短い、全線で3kmにも満たない、超ミニ鉄道。車両が何両かありますが、動ける車両が一両しかないなんとも凄い鉄道。
そこへ「動ける車両」がもう一両加わることになり、Twitterでは話題になりました。