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Channel: mitakeつれづれなる抄
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線状降水帯

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 一昨日から山陰西部に続いて九州北部での豪雨災害は、驚くばかりです。
 福岡県朝倉市では、24時間雨量が500mmをはるかに超えた量が降ったそうで、そんな水が落ちてくれば山あいの土地ゆえ、水は低きに流れ、人里で暴れまくります。
 毎年繰り返される梅雨時期の豪雨災害ですが、想定外の降雨でまさしく「水が暴れまくった」という状況。御気の毒です。

 そして天気予報ですっかりお馴染みになった「線状降水帯」ですが、同じ一か所で積乱雲が連続して発生し、まるで煙突から煙がなびくが如くの激しい雨を降らせる雲が直線状に続く現象。
 一昨年の茨城県鬼怒川の決壊を招いた雨が、この線状降水帯による降雨とされ、以降マスコミではメジャーな言葉となりました。

 「線状降水帯」という言葉は新しくとも、そのような現象は以前から気象関係者の間では認識されていたものです。バックビルディング型降水という減少で狭い一か所で集中的に雨を降らせるという認識はあったものの、そのメカニズムが解析されていませんでした。

 線状降水帯、という言葉を知る少し前、2000年の東海豪雨の際、前日夕から激しい雨。一宮は夕方までが激しい雨でしたが名古屋市内は夜に入ってますます激しく。当時、既に自宅でインターネットを始めていましたので(ダイヤルアップ回線)、雨雲レーダを刻一刻と確認。
 すると南東の方、だいたい天白川沿いに南西から北東に向けて細長い激しい降雨帯。しかもこの降雨帯は、西から東へ、或いは南から北へ移動するのではなく、南西の端から湧き上がるように北東へ伸びていきます。それを見て「なんじゃこれ?」と思ったものでした。
 その結果は、翌朝天白川周辺の緑区・南区では床上浸水の被害。

 それから何年か経った、8月。この一宮市で激しい雨。やはり雨雲レーダを見て雲の推移を確認。
 すると一宮市の南西の辺りから雲が沸き上がるようにどんどん発生して伸びていきます。
 この時、一宮市の中心部(消防署か?)で、時間雨量を100mm/hを越える豪雨。
 全国ニュースで伝えられました。その雲が次第に発達しながら南東へ移動して岡崎市で激しい雨。一宮市をはるかに超える降水で、大きな被害を出しました。

 その他でも、出先で雨に降られた場合など、雨雲レーダで雨域の大きさを見て、あと何分ぐらいで雨が上がるだろうか、の判断をしたところ、さっぱり上がらず、それどころか雨雲がどんどん伸びる減少を確認しております。

 線状降水帯を引き起こす、バックビルディング現象は、どちらかと言えば特異な現象ですが、基本的なメカニズムはごくありふれたもので、その僅かな偶然性の積み重ねでバックビルディング現象、線状降水帯ができます。

 そうした現象が発生することは予測できず、「在り得る可能性」までが限界。

 今回の九州北部の豪雨災害、やがて災害名が命名されることになるでしょう。激甚災害ですし、国の災害対策を行うには、災害名をつける必要もあります。
 しかし、悲しい災害。被災者の方には、お見舞いの言葉を申し述べることしかできません。

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