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Channel: mitakeつれづれなる抄
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運輸上の公称線路名と旅客案内上の線名

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 乗り物ニュース記事からです。以前にも弊ブログでふれたことのある、線名考で。
 東京の、まあるい緑の山手線は、一周する環状線34.5kmという一般の認識です。
 しかし、その本来の「山手線」部分は、一周していないというお話。
記事:山手線は環状線ではない? ややこしい「路線名」と「運転系統名」

 以前に書きましたけど、JR東日本の線路名称では、山手線は品川駅起点田端駅終点の20.6kmの路線です。
 その山手線部分を通り、東北本線の東京駅~田端駅部分7.1kmを通り、東海道本線の品川駅~東京駅6.8kmを走行しています。
 この循環運行する電車列車の運行系統名が山手線と称されるものであり、そこから一般に山手線というと一周34.5kmを走行する電車の系統の名前ということになります。

 こうした正式線名と運行系統の線名を区別というか異なるのはごく普通のことであり、地元名鉄でも名古屋駅から北へ向けて伸びている線路は名古屋本線だけなのですが、途中の分岐点信号上から犬山線が分かれ、須ヶ口駅で津島線が分岐しています。
 そこで犬山線列車は、分岐点信号場では折り返しや起終点が出来ないので、100%名古屋駅まで来ます。(さらに南へ)
 また津島線を走行する列車も多くが名古屋駅まで来ます。(さらに南へ)
 そのため、犬山線へ向かう列車は、名古屋駅でも普通に「犬山線」、津島線へ直通する列車は、名古屋駅でも普通に「津島線」の電車と称されています。
 これも正式線名と運転系統としての線名が違う例です。

 Youtubeの動画にこんなのがありました。大阪市のテレビ局関西テレビが放送した番組で、JR奈良線は奈良県内を走っていない衝撃の事実を取り上げたもの。
 奈良線についても以前に書きましたけど、「奈良線」という名称は、京都駅~木津駅間の線路で、そこを走り木津駅まで来る列車はそのまますべて奈良駅まで走ります。
 なので一般には奈良線というと奈良市へ行っている電車という認識です。

JR奈良線は奈良県内を全く走っていないという衝撃の事実


 ところで、これも以前書いたと思いますが、線名には、公称線名と一般に通用する運転系統としての線名の他に、鉄道の運転部門で扱われる「運転線路名」、さらに内部として総称(又は通称名)があります。
 運転線路名とは、運転取り扱い上の「運転線路」、その名称です。
 これについて、岐阜県の東海道本線、大垣~関ケ原間の線路名について書いたことがあります。
 その際の図を再掲します。


 東海道本線の大垣駅から関ケ原駅にかけては、特に垂井駅から関ケ原駅にかけて上り勾配がきつくなるため、戦時中の輸送力増強策で、坂を登る下り線は、本来の東海道本線から分かれて下り列車専用の勾配緩和線を造りました。
 その際に一旦、垂井駅経由の従来の本線路で下り線路は撤去されましたが、戦後東海道本線が電化される際に大垣駅~垂井駅・関ケ原駅間のローカル小運転用線路として、旧下り線が復活しました。
 そして運転線路名としては、下り用線路の勾配緩和線が「下り本線」、垂井駅経由の上り線路(勾配を下がる方向)は「上り線路」、その上り線路に並行している線路は「垂井線」という運転扱い上の名称で取り扱われています。

 少し前にバラスト道床で草が生えることに関して、バラスト厚に触れましたが、この(旧)新垂井駅経由の下り本線は、東海道本線の線路規格「特別な甲線、特甲線)で線路等級は1級線、また垂井駅経由の上り線路も同様ながら、この上り線に並行する垂井線は線路規格は乙線、線路等級も3級線で格が落ちます。
 グーグルストリートビューから。垂井駅経由の線路。神戸方向を望み、一見、複線に見えますが右側の線路は上り本線で軌道がしっかりしています。しかし左の線路は垂井線。線路規格も等級も下がり、軌道に草が生えているところもあります。


 関ケ原駅で折り返して大垣駅方向に向かう列車は、関ケ原駅構内の配線もあり、この垂井線で垂井駅まで走行します。つまり見かけ、複線の右側通行のようです。信号扱いの閉塞では、垂井線は単線自動閉塞です。つまり単線なのです。
 単線の垂井線に上り線路が平行してます。

 ついでに。(旧)新垂井駅経由の下り線路。(旧)新垂井駅跡地で。


 線名の話ついでに。JR東海の公称線路名として東海道本線の熱海~神戸間線路は、この垂井駅経由を差し、南荒尾信号場~関ケ原駅間の(旧)新垂井駅間の線路は、東海道本線・大垣-関ケ原間として名無し支線としての扱い。
 しかし、JR東海が会社発足時に当時の運輸省に届け出た線名は東海道線・熱海~神戸間の線路は、(旧)新垂井駅経由を示し、垂井駅経由は、単に大垣~関ケ原間となっているそうです。
 JR東海としての公称線路名と運輸省(現:国土交通省)届出の線名と異なります。前者は国鉄時代の日本国有鉄道線路名称と言う省令に準ずる規定に基づくものですが、後者は国鉄時代末期の国鉄改革をすべく、立法・施行された日本国有鉄道改革法の別表に記載された線名に基づいています。
 この点でも微妙に線名が違うものがありますが、それはまた別の機会に。

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